裏日本観察学会総本部

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豊川稲荷・妙厳寺(愛知県豊川市):3月18日

 目を覚ますと9時を回っていた。かなり寝過ごしたが、皆が元気を分けてくれたお陰か、弘法大師さまのご利益か、ともかく体調は復活。天気は良いが、相変わらず風が強い。

20070320141214.jpg総門
 豊川稲荷を参詣するのは12年ぶりだろうか。学生時代に知多四国霊場を歩き遍路した後に、ここまで足を延ばした。当時は本堂だけで奥之院などの諸堂はお参りしていなかったので、今回はじっくりと参詣する。
山号:円福山
寺号:妙厳寺
宗派:曹洞宗

20070320141249.jpg20070320141236.jpg総門から一直線上に山門。左側には大鳥居がある。
豊川稲荷は「稲荷」とあるので、神社と誤解する人が多いが、あくまでも禅寺。また、寺の境内に稲荷神社が同居していると勘違いする人もいるようだが、御本殿は妙厳寺の堂宇の一つの鎮守堂。
神道系の稲荷大神ではなく、仏教護法神の一つダキニを稲荷として祀っている。ダキニはインドでは人間の血肉を食らう鬼女だが、『大日経疏』では、大日如来が大黒天に姿を変えて調伏し、以後は死体の肝を食べるようになったとされ、一切衆生の心の垢を取り除くとされる。
日本では『古今著聞集』に、ダキニと霊狐信仰とのかかわりが見られるが、この狐を介して中世期には稲荷信仰と結びつくようになったと思われる。

20070320141301.jpg法堂
本尊は千手観世音菩薩。
妙厳寺が稲荷で有名になるのは18世紀以降と考えられている。それ以前の『和漢三才図会』などを紐解いても、豊川稲荷の名は見えない。

20070320141315.jpg荼吉尼真天を祀る御本殿への参道
明治の神仏分離では、「周囲が“稲荷”と称しているだけで、あくまでも開山の寒厳義尹禅師が宋より招来した護法神、荼吉尼真天である」としたお陰で、現状の伽藍が維持できた。そうでなけれがおそらく妙厳寺の隣に、境内を隔てて稲荷神社ができていただろう。

20070320141325.jpg御本殿
本来、ダキニは胎蔵曼荼羅にも描かれるように、手足を食らう鬼女の姿だが、日本では狐に乗る華麗な天女で表現される。これは弁才天信仰とも結びついたからであろう。ネットや低級な書籍では、「インドではダキニはジャッカルを眷属とし、このジャッカルが日本では狐とされたから稲荷信仰と結びついた」などの珍説をよく目にする。これも狐に乗るダキニが、日本で作られた尊象であることを知らない故からだろう。
堂内にはダキニ真言として「オンシラパッタニリウンソワカ」とある。ダキニ真言は『大日経』では「カリカ」、その他の密教儀軌では「オンキリカクソワカ」とある。「オンシラパッタ…」は禅宗独自の真言だろう。

20070320141339.jpg
奥之院参道の千本のぼり

20070320141349.jpg万燈堂(東海三十六不動第17番)
文殊菩薩と不動尊が祀られる。

20070320141403.jpg
弘法堂(三河新四国番外)
堂内右側には巨大な木魚がある。

20070320141421.jpg
土蔵造りの大黒堂。


20070320141432.jpg
小さな三重塔。

20070320141458.jpg
奥之院
もともとは旧御本殿の内陣を
現在地に移し、奥之院としたという。


20070320141520.jpg20070320141606.jpg霊狐塚
大小さまざまな狐象が奉納されている。
比較的新しいものばかりだった。

20070324212024.jpg
妙厳寺納経朱印

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コメント


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ダキニとジャッカルの関係について

初めまして。8mm南部と申します。
最近立川流も含めたダキニ天のことを調べていてこのブログにやってまいりました。
ネットではダキニ天の眷属or化身のジャッカルが日本ではキツネになったとの話がまことしやかに語られていますが、学研の藤巻一保氏の著書ではジャッカルは出てきません。どうなんだろうと思いググってここに来た次第です。やはり日本のダキニ天とキツネの関係が、インドに逆投影されたと言うことですね。
ただそれでも疑問は残ります。インドではダキニ天とジャッカルを結びつける考えは無かったのだろうかと言うことです(乗り物にしてるとは別にです)。
ダキニは元々し林を住みかとしてるわけですが、し林は「(死骸を)そこらに捨てて鳥や獣の食うにまかせたり」した所ですよね。当然ジャッカルとかもうろついてたと思うんですが、インドではダキニとジャッカルを関連づける思想は無かったのでしょうか(自分では確認できませんでした)。

突然の失礼お許し下さい。

8mm南部 | URL | 2008年07月15日(Tue)11:56 [EDIT]


8mm南部さん、コメントありがとうございます。

さて、ダキニとジャッカルの関係ですが、なぜジャッカルにこだわる必要性があるのでしょうか。

ダキニとジャッカルの結びつきは、野干です。
漢訳経典にたびたび登場する野干はその正体が不明なため、狐の異名ともされほぼ同一視されます。そして日本では『古今著聞集』の記述にもあるように、少なくとも平安後期にはダキニと霊狐信仰が結びつき、そこから野干も狐の異名として眷属とされました。

この正体不明の動物である野干をジャッカルではないかと仮説を立てたのが、あの南方熊楠です(『十二支考』より)。そこで問題は、熊楠はあくまでも一仮説としてジャッカル説を提示したのに、後世の者がそれを「事実」としてしまい、しかも日本で生み出された狐に乗るダキニを根拠として、「インドではダキニはジャッカルを眷属とする」などという珍説をまことしやかに広めたことです。

そもそも日本のダキニ信仰は日本で作られた神格であり、その修法・儀記はきわめて日本的なものです。『大日経』などの正当な密教経典ではダキニは極めてマイナーな尊格であり、体系の整った修法はありません。胎蔵曼荼羅では人肉を食らう鬼女、『炎摩天曼荼羅』では小袋を持つ天人と描かれる程度でしか登場しません。
また日本に正当に伝わっていない後期密教の図像でも女天で表されるだけであり、およそまともな密教学者であれば、「ダキニがジャッカルを眷属として…」などいえば失笑されます(私が学生時代に高野山でチベット密教専門の教授に珍説として紹介したら、「ろくな勉強をしていない人の説だね」と言われました)。

つまりインドのダーキニーを根拠に日本の霊狐信仰と結びついたダキニをとらえようとすることは不毛であるし、またジャッカル云々も熊楠が野干の正体としての一仮説を、熊楠の意図とは別に曲解されたものだと思います。
ただ、なぜ日本でダキニが霊狐信仰と結びついたのかはまだまだ不明ですね。

山 | URL | 2008年07月16日(Wed)20:02 [EDIT]


ご返事有り難うございます

突然の質問に丁寧にご返事下さり有り難うございます。おかげでスッキリしました。

自分がジャッカルにこだわった理由は前出の学研「真言立川流」(藤巻一保)にあります。この本ではダキニ天とキツネが結び付けられた理由を一章を掛けて考察していますが(ただし、この本自体にはジャッカルのジャの字も出てきません)、それでいくとキツネに良く似た生態のジャッカルとダキニ天が結び付けられる事は無かったのだろうかと思ったからです(エジプトのアヌビスの事もありますし)。

そこで後期密教の文書や絵画とかに、ダキニ天とジャッカルの関係を書いた物があるかネットで調べていたのですが、ジャッカル云々を載っけてるHPは多いのですが・・・「このダーキニーについて言えば、彼女が夜になって転じる姿がジャッカルだと言われている(誰が言ってんだ?)」「元々インドにおいてダーキニーはジャッカル にまたがるとされていたが(見たんかい?)」・・・その根拠となる出典を書いてあるモノは皆無でした。いわは根無し草の説なんですね。そうこうしてるうちココに辿り着いたってワケです。
でも、チベット密教の教授が「そんなモン知らん」とおっしゃっているのなら間違いはありませんね(高野山大学の先生って事ですか?)。

この件については世に謬説が広がるいい一例だと思います。大変勉強になりました。
では失礼させて頂きます。

8mm南部 | URL | 2008年07月19日(Sat)12:14 [EDIT]


「珍説」の種本

どうも8mm南部です。
この度、笠間良彦・著「ダキニ信仰とその俗信」(第一書房・1988年)を買いました。どうやらこの本が昨今ネット上で通説(の様に)になってしまっている「ジャッカル=ダーキニー眷属説」の直接の種本ではないかと思います。

文中で何度も、ダキニ天が乗るキツネは元々は野干で云々・・・としつこいくらいに出てきます。
また1節をかけて野干の事を取り上げて、昔の漢文史料や熊楠の論説まで載っけて中々に本格的なのですが、そもそもの
インドでダキニ天が野干に跨る事についてはその根拠となる文献は一行も出てきません。
この珍説自体はもっと前からあったのでしょうが、一般人も手に入る形で世に広まったのは、この本が原因ではないかと思います。

前にも出した藤巻一保氏がその著書で否定してくれたら良かったのでしょうが、ジャッカルについては触れていないので、ネットに乗ってあっという間に広まってしまったのでしょう。誰かがダキニ天(立川流)関連の売れる様な本で否定しない限りこの珍説、ますますはびこるような気が・・・

それでは失礼いたします。

8mm南部 | URL | 2008年09月14日(Sun)18:52 [EDIT]


参考資料

書庫をあさっていてお返事がおそくなりました。

笠間氏の書籍ですが、氏は大黒天などの宗教、民俗学系の書籍を著していますが、時代考証が専門とあってか古資料は紹介されていますが、いかんせん宗教学(密教学)なり民俗なり学術的基礎ができてないためか、その内容は難ありなものが多いですね。

ダキニと狐の結びつきについて興味深いの考察をしているのは、中村偵里『狐の日本史 古代・中世編』(日本エディタースクール出版部)です。
エンマ天曼荼羅に現れる野干(狐)とダキニの関係。天女形のダキニと弁才天(蛇神)信仰との関わりなどを考察しています。

山カズ大王 | URL | 2008年09月23日(Tue)09:59 [EDIT]


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